【ディズニー・ルネサンス】第二黄金期を招いたリトル・マーメイドの制作秘話

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長きに渡り世界中から愛されるディズニーアニメーション。

そんなディズニーアニメーションにもヒット作がない低迷期があったのをご存知でしょうか?

1989年に発表された「リトル・マーメイド」は、そのディズニーの暗黒時代を脱出するきっかけになった作品です。

「リトル・マーメイド」の公開後、ディズニーアニメーションは「美女と野獣」や「アラジン」など次々と大ヒット映画を制作し、「シンデレラ」、「ピーター・パン」、「眠れる森の美女」などを誕生させた1950年代に続く第二黄金期を築きました。

なかなか思うようにヒット作が生まれず低迷する中で、「リトル・マーメイド 」はどのように製作されたのでしょうか。

本記事では製作者達が語る「リトル・マーメイド 」の制作秘話をご紹介いたします。

Happiney
404: ページが見つかりませんでした | Happiney Happineyではディズニーに関する様々な「Something Happier/ちょっと嬉しいこと」をご紹介。
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目次

ディズニーの低迷期と転換期

低迷期

「1980年代はディズニーの転換期だった」と映画評論家のレナード・マルティンは語っています。

創立期からたくさんの名作を制作したアニメーターやアーティストが引退したり、亡くなったりした時期です。

ディズニー創立者のウォルト・ディズニーも亡くなっていました。

次世代のアニメーター達は、古参のメンバーが作り上げた作品の完成度に感動しつつも、それと同等の物を制作できるのかという心配が常にあったそうです。

また、当時ディズニーアニメーションは低迷しており、ディズニーの名にふさわしい作品が途絶えていました

後にこの時期は「ディズニーの暗黒時代」と呼ばれます。

ディズニーの基盤であるアニメーション部門の撤廃が検討される程だったそうです。

転換期

そんな低迷期を脱却する要因となった一つが1984年の幹部交代。

当時の作品は「多少退屈だとしても、ショックは与えない」などと評価され、なかなか喜ばしい結果を得れずにいました。

そんな時アニメーションの経験がなく偏った先入観を持たない、マイケル・アイズナーとフランク・ウェルズが加わり、新体制のスタジオとして変化していきます。

マイケル・アイズナーがディズニーに引き抜いた、当時の会長ジェフリー・カッツェンバーグは今までの実写映画で培った知識や経験をアニメーション映画に生かしスタジオの再起に奮闘しました。

彼は当時を振り返り「やり方が画一的で、少し変革が必要だった」と語っています。

会議室には創業者であるウォルト・ディズニーとロイ・ディズニー 2人の写真が飾られ、製作者達は「ウォルトならどうする?」と常に口にしていたそうです

それを聞いたジェフリー・カッツェンバーグは「僕らは自分達のやり方を見つけよう」と動き出します。

今まで穏やかだった会議はスイッチが入ったかのように士気が高まり、会社は再起へ向かって行っていきました。

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リトル・マーメイドの制作

きっかけ

新体制がスタートしてすぐの1985年1月、ディズニーで「ゴング・ショー」と呼ばれる会議が始まります。

皆がそれぞれ5つの新企画を持って集まり、考えを自由に発表する会議です。

リトル・マーメイドの監督と脚本を務めたロン・クレメンツは書店で「人魚姫」を手にし、まだ映画化されていないことに驚き「これだ!」と思ったそうです。

原作の「人魚姫」は結末が悲しいものだったため、明るい結末であらすじをまとめ「ゴング・ショー」で発表しましたが、当時進めていた「スプラッシュ」という作品の続編に似ているという理由でその時は却下されました。

しかし翌日、あらすじを読んだジェフリー・カッツェンバーグの決定で企画を進めることになります。

これがディズニーを第二黄金期に導いた「リトル・マーメイド」の第一歩です。

天才音楽家との出会い

おとぎ話はディズニーの伝統の一つですが、約30年ほど作られていませんでした。

そのため本作の製作は伝統でもあり、新たな挑戦でもあったのです。

脚本を練っている中で、音楽界の逸材が作品に興味を示しているという情報が入りました。

のちにディズニーの歴史に名を残す天才作詞家ハワード・アシュマンです。

当時のハワード・アシュマンは才能が開花し始めた頃で、オフ・ブロードウェイで演出、脚本、作詞を手掛けていましたが、困難が続き思うような結果を得られずにいました。

ブロードウェイ、舞台という環境に少し疲れを感じていたハワード・アシュマンは心機一転映画界へ。

彼は人一倍作品に情熱を注いでおり、その熱意はスタジオ全体に影響を与えました。

そんな中、ハワード・アシュマンはもう一人の天才音楽家に声をかけます。

それが「リトル・マーメイド」「アラジン」「美女と野獣」などを始め、今もなおディズニーの名曲を生み出し続けるアラン・メンケンです。

ディズニーの歴史に名を残す2人の天才音楽家の共演はこのようにして始まりました。

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天才達による名曲の誕生

ハワード・アシュマンとアラン・メンケンはピアノの前から離れなかったそうです。

当時は昔の作品ほど音楽を重要視していなかったのですが、ハワード・アシュマンは物語を伝え進行させる曲作りを意識していました。

登場人物のセリフでは表現できない感情を歌で表現するという、ミュージカル経験が豊富なハワード・アシュマンならではの新しい方式です。

パート・オブ・ユア・ワールドの歌い出しのように会話そのものから歌が生まれるのです。

このようにしてミュージカルと映画が融合した素晴らしい作品が誕生したのです。

キャラクター設定

ヒロインとなるキャラクターには10代の女の子らしさを出したかったとアリエル担当のアニメーター、マーク・ヘンは語っています。

その言葉通り、作品では早く大人になりたい10代特有の複雑な思いがアリエルを通しよく表現されています。

作品中にも「私は16よ。子供じゃないわ!」というセリフがありますね。

また、アリエルの髪型に関してはそれぞれが違うイメージを持っており物議をかましたそうです。

最終的に決まった赤髪は緑色のヒレと対比し美しく、また色の彩度を落とす暗い場所の撮影時も赤は適していました。

ちなみに、最終のデザインが決定するまで最も試行錯誤を重ねたのはアースラだったようです。

最初の案は全身がトゲだらけのカサゴだったとか。

アースラはタコじゃない?
「アースラはタコじゃない」そう語るのはアースラの声を担当したパット・キャロル。
その理由はアースラの足が6本だから。なんと、製作費の節約のために足が8本ではなく6本になったとか

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突如現れた問題点

経験値の違い

アニメーションの制作では脚本が出来たのちにストーリーボードと言うものを作成します。

ストーリーボードは、アニメーション作成にとって非常に重要な部分で、シナリオ(文章)をアニメーションに起こす為の指示になります。ストーリーボードには、実際にアニメーションを作る人に対する具体的な指示(セリフ、特殊効果、カメラワークなど)が書いてあります。

ストーリーボードは、一連の画で構成されています。実写映画のストーリーボードは、単純(ワンシーンにワンカット)ですが、アニメーションの場合、非常に詳しいものになります。1つのシーンも幾つかの画で構成され具体的にシーンの指示をします。

TVPainthttps://www.tvpaint.com/doc/tvp11/index.php?id=lesson-storyboard-definition

ストーリーボードを会長のジェフリー・カッツェンバーグに歌や物語や登場人物の最終案として提示すると、彼からは「歌も脚本もいいが、なぜか気に入らない」との一言が。

アニメーターや製作者達は経験が豊富なため、鉛筆で書いたテスト描きの絵からカラーになった状態を想像することができますが、それがアニメーションの経験が浅いジェフリー・カッツェンバーグには伝わりにくかったのです。

「パート・オブ・ユア・ワールド」をカットする!?

「リトル・マーメイド」は劇場での試写の前に、子供達向けに社内上映を行いました。。

すると上映中、子供達が名曲「パート・オブ・ユア・ワールド」の途中でそわそわし始めました。

ある子供がポップコーンバケットを溢してしまったのです。

しかしそれを見たジェフリー・カッツェンバーグは子供達が退屈していると勘違いし、「この曲を削ろう」と言い出しました。

この曲が作品中でどれだけ重要なパートか理解している製作者たちは仰天し、みんなで反論しましたがジェフリー・カッツェンバーグは意見を変えなかったそうです。

しかし、製作者の一人の懇願により執行猶予が与えられ、「パート・オブ・ユア・ワールド」のカットなしに劇場での試写会が行われました。

その結果、「パート・オブ・ユア・ワールド」を抜かない「リトル・マーメイド」の試写会は大成功。

後のインタビューでジェフリー・カッツェンバーグは「曲を削れなんて大間違いだった。あの歌なしのこの映画は考えられない」と語っています。

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大成功の試写会

「リトル・マーメイド」の製作期間は4年間。

ディズニーの伝統の一つであるおとぎ話のオマージュ作品で、昔の名作「白雪姫」や「シンデレラ」と比べがっかりされることを製作者達は心配していたそうです。

また、無名のスタッフが手掛けたミュージカル映画だったということも不安要素でした。

初めての劇場試写はバーバンクのAMC。

製作者の不安を差し置いて入場者数は天井知らず。「リトル・マーメイド」は大当たりです。

宣伝対象とする客層の設定に悩むほど、試写会参加者の年齢層は幅広くたくさんの人に愛されました

最初の週末の興行収入はもちろん上々、その後も落ちることを知らず、いつまでも上映され続けたのです。

メディアの見出しは「起死回生の大ヒット」「ディズニー・クラシックの復活」「新記録を達成」など、人々にディズニー映画の再起を印象付けました。

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ディズニー復興の土台

「リトル・マーメイド」公開後、ディズニーに「黄金期」と呼ばれる時代がきます。

新たに加わった新しい風が、ディズニーの低迷時代を脱却するための第一歩を踏み出したのです。

アニメーション未経験の秀才達が募り、作りあげた名作「リトル・マーメイド」は、生まれるべき時に生まれた奇跡とも言われる、特別な救世主なのです。

ディズニープラスで「リトル・マーメイド」をみよう!

「リトル・マーメイド」はディズニープラスで配信中です。

また、アリエルの娘やアースラの妹が登場する続編「リトル・マーメイドII Return to The Sea」、アリエルがエリック王子と出会う前の物語「リトル・マーメイドIII はじまりの物語」も合わせてご覧いただけます。

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