​​【制作秘話】制作者が語るナイトメアー・ビフォア・クリスマス撮影の裏側

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1993年に公開されたティム・バートン原作の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」。

ファンタジーとホラーが見事に交わったティム・バートンらしい独創的な世界観で物語が進んでいく本作は、今もなお多くのファンたちから愛されているハロウィンシーズンの定番の映画です。

ディズニーランドでは人気アトラクション「ホーンデッドマンション」がハロウィンシーズン特別バージョン「ホーンテッドマンション ホリデーナイトメアー」に変わるほど。

そんな大人気「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は実際の人形の使用して動き作り出す「ストップモーション・アニメーション」という撮影方法で制作されました

制作期間は3年、100人を超える技術者たちが1コマ1コマ丹念に創造した、まさに芸術といえる作品「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」。

制作者たちが自ら語る撮影の舞台裏と制作秘話をご紹介いたします。

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目次

ストップモーション・アニメーション

ストップモーション・アニメーションとは

ストップモーション・アニメーションとはアニメーションの撮影方法の一つです。

例えば人形にポーズをつけて静止させそれを撮影します。

そしてその人形を少し動かしてまた撮影する、という作業を何度も繰り返します。

そうして撮影したフィルムを回すと、人形に命が吹き込まれたかのようにひとりでに動いて見えるのです。

実はこのストップモーション・アニメーション、その撮影過程は想像を絶するもの

フィルムは1秒が24コマ、つまり人形は1秒で24のポーズをとらなければならないのです。

1分のシーンの撮影に1週間を要すほどだとか…

撮影の過酷さ

アニメーションという手法の映画では生身の俳優が演技をするわけではありません。

そのため制作者たちが感情移入して人形の動きを考えるのです。

時には自分たちが演技をしその動きを人形で試したりと、流れが決まっているストーリーの枠内でどう人形を動かすか細かく話し合いが行われるそうです。

ある程度人形の動きが決まるとテスト撮影をして、実際に画を見ながら討議を繰り返します。

テスト撮影は納得いくまで3〜4回ほど行なわれていたそうです。

キャラクターの動きや画面の進行が、監督もアニメーターも異論なしとなってやっと本撮影に移ることができるのです。

しかし本撮影を終えてもなお、数日後に試写してみるとカメラや照明が動いていたりしてやり直しになることも珍しくなかったそうです。

セル画のアニメーションであればミスがあったコマだけ描き直して再撮影すればいいのですが、ストップモーション・アニメーションではそうはいきません。

全ての動きが繋がって映像ができているため、1コマのミスはそのシーン全体の取り直しを意味するのです。

例えば400コマ分を10日間の予定で撮っていているとし、9日目にドジを踏んだらその9日間の努力は消え去ってしまうのだとか。

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セットのこだわり

独特の世界観を作り出すため、たくさんのセットが作成されました。

その数なんと230。

撮影用のセットは、物語の一連を細かく記載したストーリーボード、ティム・バートンの絵、監督の要望を反映させ細かく丁寧に作られました。

ジャックたちが住む街ハロウィンタウンはティム・バートンの方針により使える色が黒、白、オレンジに限られていたそうです。

実際のセットを制作する前に4分の1の模型を作ります。

原寸のセットは7メートルを超えるため変更が出た時、修正を加えるのが難しいからです。

また、実物のセットをスタジオに丸ごとは置けないため、模型の時点でどう分けるのか切り離し方も考えます

セットを分けることで、部分ごとに撮影を進めることも可能になります。

撮影時、キャラクターを動かすことは必須のため、各部分の横幅はアニメーターの手が人形を動かす際に届くよう60センチ以内で設計されていたそうです。

どうしても超えてしまう場合は間に隠し扉を作りそこに入れるようになっていたのだとか。

1コマ分動かしては下に隠れて撮影を繰り返していたそう。

模型バージョンでセットの原型が決まると、実際に使用する原寸大セットの作成に入ります。

できたセットは実写映画に比べたら小型ですが、使われる照明はとても本格的です。

効果的な陰影を演出するために小型の照明器具20〜30個を使用し撮影されたそうです

撮影担当は8つに分かれていて様々なシーンの撮影が同時進行していました

そのため、統一感を合わせるのにとても苦労したそうですが、制作者たちの努力の末、全シーン一定のスタイルを保ち全く違和感のない撮影に成功しています。

キャラクターのこだわり

物語には約60のキャラクターが登場します。

3〜4体の複製を用意したものもあり、合計200体近くの人形が作られたそうです。

全ての人形たちは一体一体とても丁寧に作られており、キャラクターの独自性や動きの滑らかさは他の同種の作品とは比べ物にならないほどの完成度でした。

制作過程

キャラクターが実際にセットに立つまでの制作過程は次の通りです。

  • 絵を基に柔軟な油粘土を使用し原型の人形を作る
  • 作成した人形を基に綺麗な造形面を持つ型をとる
  • 完成した型の中に骨組みを入れ液体ゴムを注入し肉付けする
  • オーブンで焼き、型を外すと人形の完成
  • 色を塗り衣装を着せ、髪や毛をつけてそれぞれの個性を表現する

人形の動き

人形は動作の1コマ1コマに合わせて繊細なポーズを取らなければいけません。

そのため、人形の中には精巧な骨組みが入っています。

粘土人形やスケッチを色々な角度から観察して関節の位置を決めるのだとか。

関節には球&ソケット式と蝶番式の2種類が使われています

球とソケットの関節は可動範囲が大きく自由な動きが可能です。

どこにでも応用が効き、様々な動きが必要な首回りや腕の関節などに使われています。

それに比べ蝶番式は可動範囲は少ないですが、腰などしっかり固定すべき部分に適しています

骨組みの各部品は人の手で丁寧に作られており、これにより微妙なポーズや画面上の滑らかな動きが可能になるのです。

表情のこだわり

ジャック

表情を豊かにするために交換用の頭部がいくつも作られました。

撮影ごとに頭部を交換し表情に変化をつけていたのです。

細かい口の動きの基本形はAEIOU(日本語で言うあいうえお)。

それに加え、中間の口の形も作成されました。

各セリフの口の動きは一覧表にされ、どのシーンでどの頭を使用するのかは一目見てわかるようになっていたそうです。

各頭部の写真をPCに取り込み台詞や歌に合う口を1コマずつ特定していたとか。

また、喜怒哀楽の表情もいくつも用意されました。

そんなこんなでジャックの頭部は全部で400個ほど。もちろん全て違う表情です。

またキャラクターが生き生きするために欠かせない演出が瞬きです。

瞬きについては頭部と同様に目を入れ替えて撮影されました

少し閉じた目を入れ撮影し、次はより閉じている目を入れ撮影、そして完全に閉じた目を入れて撮影します。

大体3コマごとに変えると本当に瞬きしているようになるそうです。

サリー

制作者によると一番微妙な動きを必要としたのがサリーだそうです。

バランスを崩した歩き方が特徴で、彼女の撮影はカメラを少し斜めにしたり、首を傾けたりして印象を強めたのだとか。

またサリーの表情もジャックと同様の方法で幾通りにも変えることができました。

ジャックとの違いはサリーの特徴でもある長い髪の毛

髪の毛があるため頭ごとの交換は難しく、サリーの人形は生え際のところで顔だけ取り替えられるようになっていたそうです。

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前代未聞のクオリティ

キャラクターの見事な動きと魅惑的な映像は、同種の映画では前例のない完成度です。

登場するキャラクターたちが実は1コマ1コマ撮影された人形だと気づかない人も多いのではないでしょうか。

制作者たちが一丸となって繊細な作業を繰り返し、長い年月をかけてキャラクターたちに命をふきこんだのです。

制作者たちの忍耐と努力が作り出した「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」。

このハロウィンシーズンにぜひご覧ください。

新しい発見やさらなる感動があること間違いなしです。

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特典映像として本記事の元になる「メイキング・オブ”ナイトメアー・ビフォア・クリスマス”」も合わせてご視聴いただけます。

制作者たちが自ら語る制作の苦労やこだわりをぜひご覧ください。

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